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意見書等

2019年(平成31年)03月26日

内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局 御中

「ギャンブル等依存症対策推進基本計画(案)」に対する意見

日本司法書士会連合会

会長 今川 嘉典

 
 日本司法書士会連合会は,特定複合観光施設区域整備法の制定,カジノの設置について反対の意見を表明してきたところであるが,ギャンブル等依存症が社会問題化している現状とその対策の早急な必要性を鑑み,ギャンブル等依存症対策推進基本計画(以下「基本計画」という。)に対し,以下のとおり意見を述べる。
 
第1 第一章について
1 ギャンブル等依存症対策の現状について
 ギャンブル等依存症に陥る者が一定程度発生するものであることを認識し,これまでの対策では不足している規制をすべきである。
 
第2 第二章について
1 取組むべき具体的施策について
 カジノについての施策も定めるべきである。
 
2 業界の取り組みについて
 業界の具体的な取組みについての計画は様々な記載があるが,いずれも実効性があるとはいえない。
(1)総量規制の導入
 わが国は諸外国と比してギャンブル等依存症の有病率が高いと言われている。これにはギャンブルへの敷居が低く,安易に手を出し,日常化しやすいという背景もある。まずは,法による強制的規制を図れるよう,総量規制を導入すべきである。
 
(2)広告規制
 現状の対策として,広告内容が射幸心を煽るものとならないように実施し,注意喚起を視認できるようにするなどとされている。しかし,ギャンブル事業者は利用者のギャンブル行為による損失によって利益を得る仕組みであるところ,射幸性を煽る広告を認めること自体がギャンブル等依存症を増やす原因となることが分かっているので,一切認めるべきではない。
 射幸性を煽る内容でない広告であっても,親しみやすいイメージ広告のように,ギャンブルへの心理的な障壁を下げ,ギャンブル等依存症者を増やすこととなるため,広告は認めるべきではない。
 
(3)ぱちんこ・パチスロの入場年齢
 ギャンブル等依存症対策を実施するにあたり,同じギャンブル等として捉えているぱちんこ・パチスロについてのみ,入場年齢を18歳としている点については,他のギャンブルと同様に20歳未満の者の入場を規制すべきである。
 
(4)入場規制について
 基本計画では,競馬等において20歳未満と思われる者を確実に把握し,購入を制限する体制を維持するとなっているが,20歳未満の者が購入できないのにも関わらず,「20歳未満と思われるものを把握」する目的は不明である。入場規制をするのであれば,すべてのギャンブルに共通の入場カード等を作成し,入場口で規制する施策が必要である。馬券やパチンコ玉等を購入する際にカードを必須とし,依存症予防のために回数及び金額の規制を設けるべきである。このことは,タバコの購入の際の個人識別カード(taspo)が普及していること,Suica,ICOCA,PASMOなど競馬場等より大勢の人が利用する鉄道の駅等で入場時に混乱が生じていないことから,自動改札機のようなシステムを導入することで,実効性は確保できると考えられる。
 
(5)相談窓口の設置及びアドバイザーの配置
 各業界団体において,相談窓口やぱちんこアドバイザーの設置などが計画案にあがっているが,元より依存症の根源となった業界団体への不信感は強く,相談窓口が機能する可能性は低いといえる。また,依存症者や依存症が疑われる者が自ら相談に行くことは稀であり,医療機関や回復施設を紹介しても自ら受診することは,さらに稀であるため実効性がないといえる。
 業界ごとではなく,すべての業界が協力して,互いに広報活動,依存症の防止,発見に努めなければ何ら解決にならない。
 
(6)周知活動について
 ギャンブル等依存症,又はそのおそれがある者にとって,金銭に関する問題は極めて重要である。そもそも,ギャンブルのための資金が簡単に借入れできる環境自体が依存症に至る背景の一つであり,多額の借金により,本人はもとより家族の生活まで破綻してしまうことも多々ある。そのため,簡易な借入れができないように,銀行等の金融機関や貸金業者と連携して防止することが肝要である。行政の無料相談窓口などに関して広報をすることにより,依存症者本人のみならず,その家族にも情報が行き届くようにすべきである。
 また,ギャンブル等依存症という概念を社会的に浸透させ,「治療の必要性」への認識を高めるべきである。
 このことは多重債務者が,一般的に「多重債務状態に陥ること」を恥ずかしいことと認識していた状態から,リストラや連帯保証,事業の失敗等の要因により,誰にでも起こりうることだという認識へ変化し,専門家へ相談することが必要という認識が浸透し,多重債務者が減少したことからも明らかである。ギャンブル等依存症者についても,生活環境の変化により誰にでも起こりうる,誰もが依存症になり得るという認識を浸透させ,早期の相談に繋げることが必要である。
 
第3 要望
 現在まで司法書士は主として多重債務者への相談を通じて,様々な依存症問題に取組んできた。また,成年後見業務を通じて高齢者の依存症問題,未成年者のネット依存の問題などに接している司法書士も存在している。
 そして,依存症当事者にとっては,借金問題を解決したという一時的な理由でギャンブルをやめたとしても,依存症から回復しなければ,根本的な解決にはならない。それぞれの現場における様々な専門家との顔の見えるネットワークでの有効な連携による当事者に寄り添う支援が不可欠である。
 このような点を踏まえ,今後,都道府県や政令指定都市においては,司法書士の関与も含めた,各機関の連携を深める実効性ある推進計画の策定を要望する。
 
「ギャンブル等依存症対策推進基本計画(案)」に対する意見

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